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由真にしては声がいつもより高く、よほど嬉しいときにしか聞くことのない声、さらに、危機的状況だというのに由真は笑顔になっていた。
「由真……?どうし……」
「レインっ!!」
空がそのことについて追求する間もなく、由真はそう叫びながら空に抱きついてきた。
有り得ない、それと同時に空の全身が一気に熱くなった。
少し汗ばんだ由真の体は、油断していた空の体にピッタリとくっつき、手に填めている紅蓮の鉄甲が背中にぶつかり、ゴツゴツとした鉄甲が空の背中に痛みを与えた。
「いやぁ~!現世還りがこんなに大変だなんて思わなかったわよ。意識体になってから現世の真理に介入するなんて、やっぱり私は天才ね!」
先ほどから由真が言っていることは何一つ理解できなかった。
ただされるがままに由真を受け入れているだけだったが、この由真の突拍子もない言葉を聞き、最初に由真が叫んだ言葉を思い出していた。
由真は、確かにその澄んだ声で、確かにレインと……、雷帝の名を呼んでいた。
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