エピローグ

3/4
前へ
/409ページ
次へ
『……雷帝……』 もちろん、この場合の雷帝はレイン=シリウスではない。 思えばレラジェは空に深く感情移入をし続けてきた。 空を殺そうと思えば、それこそ瞬きをしている間に終わらせることもできる。 そうしない理由は確かにある。空は通行証を所持していて、それが時変者にとって必要なものだから、現状を保ちつつ用意している策をとる方針になっている。 だが、それは言い訳にすぎない。 レラジェは明らかに空に何か特別な感情を抱いてしまっていた。 自分をごまかしてはいるが、レラジェもそのことに気がついている。 そんなもどかしさを常に胸にし、レラジェはこの一瞬の永遠を過ごしてきた。 だが、それも終わる。 レラジェが力を送り続けてきたそれが、今形を得た。 その瞬間に強大な力が辺りに戻り、空間に厚みが生まれた。 ついに、漆黒の空が復活した。 『……雷帝……決着をつける……』 このもどかしさを祓わなければいけない。 レラジェはあることを決意し、もう用がないこの場所から立ち去った。
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21775人が本棚に入れています
本棚に追加