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『……雷帝……』
もちろん、この場合の雷帝はレイン=シリウスではない。
思えばレラジェは空に深く感情移入をし続けてきた。
空を殺そうと思えば、それこそ瞬きをしている間に終わらせることもできる。
そうしない理由は確かにある。空は通行証を所持していて、それが時変者にとって必要なものだから、現状を保ちつつ用意している策をとる方針になっている。
だが、それは言い訳にすぎない。
レラジェは明らかに空に何か特別な感情を抱いてしまっていた。
自分をごまかしてはいるが、レラジェもそのことに気がついている。
そんなもどかしさを常に胸にし、レラジェはこの一瞬の永遠を過ごしてきた。
だが、それも終わる。
レラジェが力を送り続けてきたそれが、今形を得た。
その瞬間に強大な力が辺りに戻り、空間に厚みが生まれた。
ついに、漆黒の空が復活した。
『……雷帝……決着をつける……』
このもどかしさを祓わなければいけない。
レラジェはあることを決意し、もう用がないこの場所から立ち去った。
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