さよなら、僕の。

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僕の大切な、ただ一人の人の命が尽きてしまった。   僕の目の前で、真赤な涕を流して笑いながら消えてしまったんだ。   流れ出した涕はなかなか止まらなくて、必死に拭う彼女の声が、次第に弱くなっていって。   「泣かないで」   僕が言わなければならないはずのその言葉が、か細く彼女の口から洩れた。     彼女からは真赤な涕 僕からは真青な涕     「大丈夫だから、ね」   止まらぬ涕に終止符を打つかのように彼女が囁く。   数秒後には、もう彼女は居なかった。    
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