想い人

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「駄目だな」 「駄目…ですか…」 只今いる場所は職員室。 先生の言葉に少し肩を落とす僕の名前は富岡 桜。 中学3で、部活は美術部。 肩を落としている理由もその美術部が原因で、出品するはずの絵がダメ出しされたからだ。 運動も勉強も出来なくて、これといって特技も無い。 地味で暗くて、本当に何のために生まれて来たんだか…。 「駄目ですか…。やっぱり、冴えないですもんね」 僕が書いた絵は桜の絵で、自分でも力作だったのだが、色合いも桃色が基調とされており、冴えないのも事実だ。 自分の名前が桜だから描いたっていうつまらない理由ではない。 ただ書きたかった、それだけだ。 それを駄目だと言われた…。 何か馬鹿みたいだなぁ。 「先生はお前の絵は大好きだぞ!?でも、やはり…」 言いにくそうにする先生に、自分は弱冠冷めているようで、お世辞なんかいらないと思った。 「いいえ、ありがとうございます。先生にそう言ってもらってスッキリしました。 もう、3年だし時間も無いし諦めます」 僕は出来るだけニッコリと笑い、職員室を後にした。 「お、おい!富岡…!!!」 先生の僕を呼び止める声が聞こえたが、無視した。 先生に悪意も無いし悪気もない、八つ当たりだってことも自覚してるさ。 でも、本当に力作だったから辛かっただけなんだ。 これしか取り柄が無いのに、これも否定された僕はどうすればいいんだ? 頭の中を渦巻く醜い気持ちに蓋をして、表に出ないように押し込み、廊下を歩いた。
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