ネトゲは魅力的である

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「グループ」 を組む上でもっとも欠かせないものが、プレイヤー自身の 「コミュニケーションスキル」 である。  プレイヤーは全て「生身の人間」が操作していて、喜怒哀楽の感情を持っており、それぞれの「リアル側」の生活を持っている。  あなたは目的のために仲間を集めたいと考えるだろう。しかし、その意図は他のプレイヤーにとっては、当たり前の話だが、あなたが伝えるまでわからないのだ。仲間を集めるには、あなた自身が行動を起こす他無い。  ここで例を挙げてみよう。  あなたは、勇気をふり絞って武器屋から出てきた戦士風の男に声をかける。 『あの、すいません…』 『ん? なにか用かい?』 『ええと、初めまして。僧侶の〇〇と言います。』 『こちらこそ初めまして。新人さんかな?』 『あ、はい、ええと…』 『あ、もしかして北の洞窟のクエスト?』 『はい… モンスターを倒したいんですが、私では力不足で… 良ければ一緒に行ってくれませんか?』 『懐かしいなぁ。俺もアレで苦労したわw 特に予定も無いし、一緒に行ってもかまわないぜ?』 『あ…ありがとうございます!』 『それじゃ早速行くか!』 『…はい!』  初めのうちは誰緊張するものであるが、かくしてあなたはグループメンバーの一人目を見つけることが出来た。  道中、戦士の友人が、楽しそうだからと助勢に駆け付けてきたりして、徐々にそれらしい編成になってきた。 ついに辿り着いたあなたは、目的の場所を調べようと洞窟へ足を踏み入れようとした瞬間、モンスターがその姿をあらわす。  男はモンスターの前に立ち塞がり、敵の攻撃を一手に引き受ける。  その間に他の仲間が敵の背後に回り込み、強烈な一撃を加えた。  あなたも攻撃に参加するが、とても歯が立たない。 『あんたの武器じゃコイツは無理だ!』  男に一喝され、おろおろするあなたに男は続ける。 『回復魔法を準備していてくれ、今コイツにトドメをッ…刺すッ!』 といった、ファンタジードラマのような出来事が、MMORPGでは演出ではなくリアルタイムに交わされるのだ。
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