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第一話:彼女の名前は小西紗和ちゃん
「あぁ、うん。分かった。分かってるってば、大丈夫。それじゃ明日。」
お兄ちゃんの部屋から話し声が聞こえてくる。洗濯物をたたんで、各部屋に置きにまわって、自分の部屋に戻る時だった。部屋を覗いてみると、兄の藍が笑っている。家ではあまり喋らない藍が、楽しそうにしているのを、びっくりして見ていた。
『お兄ちゃん。』
電話が終わったのを見計らって、声をかけた。
「捺…。」
『お兄ちゃんでも笑うんだね。なんか可愛い。』
「何だよソレ。」
藍は顔をそらして苦笑いをした。
『ね、今の潤一君じゃないよね。誰?女の人?もしかして…彼女とか!!』
「な…っ?!」
藍は真っ赤になって、少し慌てた。どうやら図星だったらしい。捺は得意気にニヤニヤした。その後も聞きたいことがたくさんあったが、藍が部屋を追い出した。少し不満だったが、新情報がゲットできたから、気持ちは満腹だった。
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