0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
小さい頃の私は泣いてばかり。
母子家庭の私は母が仕事から帰ってくるまで、幼なじみの家にいたり、幼なじみの家の近くの公園で遊んだりしてた。
でも、小さい頃って不安だらけな世界で…
母が遅いと泣いたり。
寂しいと泣いたり。
物を取られて泣いたり。
花が枯れて泣いたり。
沢山泣いていた。
そんな記憶の中、一人の声が頭に響く。
「大丈夫か?」
2つ年上の幼なじみの尚人君。
私と同じ歳の妹の沙羅ちゃんがいる。
尚人君の声は小さい頃から私を安心さしてくれた。
私は少しずつ好きになっていった。
小さい頃はキスしたり手を繋いだりした。
今思い出しても、幸せな光景。
そんなふうに、今出来たらもっと幸せなんだろうと思ったりする。
思わず思い出し笑いをした。
「何、急に笑ってるんだ葉亜螺?」
ふと聞こえた安心する声。
声はあの頃より低いけど、安心する声。
「ちょっと、思い出し笑いしてただけだよ、尚人君!」
笑顔で答えると、不思議そうな顔をした。
「何を思い出したんだ?」
「内緒!」
私がそう言うと、幼なじみの家の玄関が開いた。
沙羅が帰って来た。
「ただいま~」
「おかえり、沙羅」
私は、部活をしていない為、沙羅より先に幼なじみの家に来ていた。
沙羅は吹奏楽部。
尚人君は中学3年生で、受験の為部活は無し。
「二人とも部活無くて良いね~」
「俺は受験だから良いの!葉亜螺は部活したら?」
「いや!のんびりするのが一番!」
「まぁ、お前らしい発想だな!」
「良いでしょ~」
なんて言って皆で笑いあってた。
最初のコメントを投稿しよう!