第1話

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小さい頃の私は泣いてばかり。 母子家庭の私は母が仕事から帰ってくるまで、幼なじみの家にいたり、幼なじみの家の近くの公園で遊んだりしてた。 でも、小さい頃って不安だらけな世界で… 母が遅いと泣いたり。 寂しいと泣いたり。 物を取られて泣いたり。 花が枯れて泣いたり。 沢山泣いていた。 そんな記憶の中、一人の声が頭に響く。 「大丈夫か?」 2つ年上の幼なじみの尚人君。 私と同じ歳の妹の沙羅ちゃんがいる。 尚人君の声は小さい頃から私を安心さしてくれた。 私は少しずつ好きになっていった。 小さい頃はキスしたり手を繋いだりした。 今思い出しても、幸せな光景。 そんなふうに、今出来たらもっと幸せなんだろうと思ったりする。 思わず思い出し笑いをした。 「何、急に笑ってるんだ葉亜螺?」 ふと聞こえた安心する声。 声はあの頃より低いけど、安心する声。 「ちょっと、思い出し笑いしてただけだよ、尚人君!」 笑顔で答えると、不思議そうな顔をした。 「何を思い出したんだ?」 「内緒!」 私がそう言うと、幼なじみの家の玄関が開いた。 沙羅が帰って来た。 「ただいま~」 「おかえり、沙羅」 私は、部活をしていない為、沙羅より先に幼なじみの家に来ていた。 沙羅は吹奏楽部。 尚人君は中学3年生で、受験の為部活は無し。 「二人とも部活無くて良いね~」 「俺は受験だから良いの!葉亜螺は部活したら?」 「いや!のんびりするのが一番!」 「まぁ、お前らしい発想だな!」 「良いでしょ~」 なんて言って皆で笑いあってた。
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