1人の男

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「そちらも観光で?」 バス停に着くなり降りだした霧雨… 僕は自分のバックから折畳みの傘を取出しながら彼に聞いた 「ま…まぁ…そんな感じです」 軽めのシャツにダウンとジーンズ そして少し深めのニット帽をかぶり手には小さめのボストンバックが1つ… 全体的に派手ではない色合いが僕の苦笑いより彼の表情をさらに固く見せた 「傘に入ります?」 霧雨に濡れている彼を哀れに思い傘に誘った が…そんな僕の思いやりも虚しく彼は首を横に振る 頭の先から徐々に濡れて行く彼… 「なんだ?…こいつ」 旅や観光と言うより家出をしてきた人間… そんな風に見える彼を僕は不思議に見ていた 「何か…変ですか?」 彼は不思議そうに見ていた僕の顔を見た 「あ…い、いえ…」 僕は慌てて目をそらした 空は徐々に暗くなり真上にある外灯が二人を照らす バス停に他の客はいない 沈黙のせいだろうか… 霧雨のかすかな音が大きく聞こえた
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