一章 ボクはこの日…ヤメタ。

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2008年3月 今…ボクは…目の前にぶら下がっている、一本のロープを見つめている…。 部屋の天井に括りつけられた そのロープの末端は、自分の頭が入る様に調節された(輪っか)が作ってある。 ボクは床に置いた 雑誌を重ねた 足場を上り、 ロープの(輪っか)を手に取った。 そしてその(輪っか)を自分の首にかけ、深呼吸をする。 ふと目線の先にある 写真立てが目に入る。 その写真立ての中には、幸せそうに笑っている ちょっと前のボクが、写っている。 写真の中のボクは、最も愛してやまない、ボクの息子(悠飛 ユウヒ)と一緒にスベリ台を滑っている。その隣の写真はボクと、ボクを最も愛してくれた妻(優 ユウ)が お互いに手に持ったアイスを食べさせあい、楽しそうに笑っている。 この3人で暮らす空間、それがボクの[世界]のすべてだった。
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