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作者が本作に込めたテーマは、最後の一行『誰が悪かったのか』です。
一般論から言えば嘘をついたおおかみ少年でしょう。では、なぜ彼はこんなにも嘘をつき続けたのか?問題はそこにあるのではないでしょうか?
本作で一番伝えたかったものは、序盤のおおかみ少年が嘘をつき始める前の出来事です。“みんなが自分の言葉を聞いてくれたのが嬉しかった”。なぜ彼はこんなことに嬉しさを感じてしまったのか?
本作では描かれていない彼のバックグラウンドを想像してみて下さい。両親、兄弟、友達、学校、社会…。そういったものに問題はなかったのかという点です。彼は嘘をついてでも自分の言葉を誰かに聞いてもらいたいくらいまで追い詰められていた。そして最悪の結果を招いた。彼だけが悪いのか?
事件だけに目を向けず、その背景に、関わった人間に、もっと目を向けてほしい。そういった考えで書いた作品です。
少年犯罪や子供が犠牲になることの多い現代だからこそ、あえてこういった結末にさせていただきました。この作品から何かを感じ、考えていただければ幸いです。
長いあとがきになってしまいましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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