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人の気配を頼りに、ショーコは敷地内にある森に入る。
すると、ピンク色の洋服を着た少女がせっせと花を摘んでいた。
どうやら、この娘が護衛の対象らしい。
そう直感したショーコは少女の前に立ち、捕まえようとした。
少女
「ひぃ!?」
ただならぬ雰囲気というのは、少女でも察する事ができた。
当然、逃げようとする。
素早くその手を掴むと、少女は泣きだしてしまった。
逃げようと暴れだした為、少女がその手にもっていた花が風に乗って飛んでいく。
なんとか誤解をとこうと、ショーコはマスクを外して話しかけようとした。
ショーコ
「…あ…が」
あまりに久しぶりに発声した為、うまく声がでない。
奇妙なうなり声をあげたように聞こえたのだろう…少女はいっそう泣きだした。
こんな時、どうすれば良いのだろう?
戦う事だけに長けてしまったショーコの脳には、こういった場面を臨機応変に対応する手段は思い浮かばない。
すると、ショーコは母親が妹をあやす為に抱きしめて歌を歌っていた事を思い出す。
できるだけ、少女を優しく抱きしめて…うろ覚えの歌を鼻歌で歌う。
過去の思い出が、そうさせたのだろう…歌詞こそ無いがショーコの歌声は少女の胸に優しく響いた。
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