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テストは終わった。色んな意味で。
そろそろ夕陽が沈む時間だ。
この時間になると、いつも氷帝メビウスをもらった浜辺の出来事を思い出す。
ぐぅ。
お腹が減った。
購買部がまだ空いてる時間なので、
あたしは腹の音に従うままに歩くことに。
途中、廊下で知った顔に出会う。
赤帽子くんだ。
「や、少年。テストどうだった?」
赤帽子くんはめでたく実技テストに勝利したらしい。
ああ、実にうらやましい。
デュエルのこと、趣味のこと、学園のこと。
とりとめない話をしながら、二人並んで購買部へ向かう。
赤帽子くんもお腹が減っているらしい。
あたしはオベリスクブルーの生徒として、
ちょっとお姉さんぶってカードの有効活用方法などを教えてあげた。
「儀式カードって知ってる?
儀式カードを使うときはね、マンジュゴッドって言うサポートカードとかも入れておくといいよ。
あはは、よけいなお世話だったかな?」
あたしも周子に負けず劣らずお節介なものだ。
そんなことを話してる間に、あたし達は購買部へと着く。
「いらっしゃいませー!あ、法子さん!テストはどうでしたかー?」
いつも元気な購買部のセイコさん。
その言葉がグサリとあたしの胸に突き刺さる。
「あはは……そ…それは聞かないで……」
ここで、買うものはもちろん、ドローパン!
これは百何種類という具が存在していて、
買ってみるまでどんな具が入ってるかわからない。
くじ引き感覚……いや、
カードドロー感覚の食べ物だ。
安いので学生達に重宝されている食べ物だが、
とんでもない具にぶちあたることもある。
そのときは引きが悪かった、ということだ。
「よぉし、引くわよ。ドロー!」
あたしと赤帽子くんは1個づつ買って、その場で食べることに。
さて、何が入っているか…
……
な、なんだこの食感は。
柔らかな歯ごたえ。
全体に染み渡る微妙な味。
なんかぶつぶつしてる。
長い?
あ、細い。
あたしの買ったパン、それは……
「あー、それは、もりそばパンですねー。」
も、もりそばだと……?
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