三章「天上院明日香」

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そんなものをパンに入れるなど、いまだかつて聞いたことが無いわー! かたや、赤帽子くんは美味しそうに食べてる。 なんとステーキパンのようだ。 彼はよほど引きが良いらしい。 だが、これではいくらなんでもあんまりじゃないだろうか。 このままではお腹が膨れたと感じないので、あたしはもう1つ買うことに。 今度は、やきそばパンが出る。 普通だ……。 しかし何故メン類ばかり? ・・・ 赤帽子くんと別れた、あたしは帰路につく。 途中の山道から、あの浜辺が見える。 ふと見ると二つの人影が寄り添っている様子が目に入ってくる。 カップルだろうか? いいな… …ちょっと羨ましい…。 あたしは足早に女子寮へと向った。 「おかえり~」 周子は先に帰っていた。 のんきに本を読みふけってる。 筆記は大丈夫だったのだろうか? なんだか余裕な顔をしている気がする。 「周子テストどうだったの?」 「ん~、筆記はちょっと危ないかもしれないけど…… 実技のほうは絶好調だったよ。 お姉ちゃんはその様子だとダメそうだね。」 「…うっさい。」 仕方ない…… 今日はデッキの調整がイマイチだったようだ。 天上院明日香に勝つためには、入念な構築が必要だろう。 ざっとカードを並べてみる。 上級モンスターの中心はもちろん、氷帝メビウス。 下級モンスターは、ちょっと攻撃力が不足しているかもしれない。 生贄要員を集めすぎているのかも。 魔法カード、罠カードも防御系のカードを増やすべきか。 こうしてあたしは、久しぶりに真面目にデッキの構築をするのだった。 先日感じていた黒い不安はまだ消えてはいない。 どこかで吹雪さんが助けを求めている……。 そんな予感がする……。
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