五章「吉澤由美」

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「周子!いつまでウジウジしてんの! あたしたちの手で犯人をとっ捕まえるのよ!」 学園にいる人たちのも話を聞いてみよう。 「むふ、こうなったら徹底的に洗うわよ。」 吉澤先輩のカードは無事だが、先輩のカレのカードが無くなったらしい。 あたしは先輩の彼氏がどういう人かは知らないが、ここの生徒なのだろう。 何人かに話しを聞いてみれば、盗まれたのは オベリスクブルーの生徒に集中しているようだ。 「むふ……ブルー生徒はレアカード持ってる人が多いから…… その中でレアリティの高いカードを狙った犯行かも……」 そうしているうちに授業の時間になってしまう。 後で吉澤先輩と会う約束をし、あたしたちは授業に出席をすることに。 「エーそれで~ワ~、出席を取るノーネ。 オヤ~? クロカーワ タダカーズは今日も休みデス~ノ? サボりはイケないノ~ネ。よって、ペケジルシ。ユキジルシ。」 黒川唯一。 彼は最近欠席が多い。 確か……属性デッキ六人衆の一人だ。 闇属性を操るらしい。 彼一人だけ休むなんておかしい。 なにかピンと来たあたしは近くに座っていた温田に話を聞いてみた。 どうやらこいつは、落第を免れたらしい。 「ああ……なんだお前か。 黒川なぁ、あいつ最近、変なんだよ。 ボ~っとしてること多いし、森に発電所が立ってるだろ? あそこで一人で立ってること多いんだよ。」 むむむ。 一見関係無さそうだが……。 温田も一連のカード盗難にあっているようで、あまり元気が無かった。 講義が終わり、吉澤先輩に会ってみることにする。 夜中の十一時過ぎ。 森の方角にカードが飛んでいくのを見た人がいるらしい。 「むふ。こりゃあちょっとしたオカルト話ね。」 いよいよ尻尾を掴んだのだ。 あたしたちは今夜十一時に森の付近で見張りをすることに。 あたしはカードを取られた他の生徒たちにも 手がかりを掴んだことを伝える。 すると多くの生徒がこの警備に名乗り出てくれて、 カードを取り戻すことを表明してくれた。 作戦は今夜十一時決行よ! ・・・ 十一時近くになり、あたしたちは森の入り口へ向かう。 結構な人数が集まっていた。 十何人か、だろうか。 こんな深夜の外出は禁止されているので、教師に見つかったら大変である。 「ふふふ、何が出るのか楽しみじゃのぉ。」
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