280人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、あたしはなんとか起きれた。
しかし気分は相変わらず暗いまま。
まだ天上院吹雪を発見したという連絡が無い。
「どこにいるのよ……吹雪さん……」
ボ~っとそんなことを考えながら教室に入ろうとしていた為、
あたしは近くに歩いていた男子生徒にぶつかってしまう。
なんかもうツイてない。
「あ…ゴメン……大丈夫?」
あたしは、よろけて壁にぶつかってしまった、小柄な男子生徒に声をかけてみる。
別になんとも無かったみたいで、その生徒もあたしに声を返す。
「……いえ」
赤い制服、オシリスレッドだ。
赤い帽子を目深に被っている。
昨日、周子が言っていたことを思い出し、あ、と思わず声を上げてしまう。
「もしかして、君が最近来たばかりの転校生?」
「……はい」
「へぇ~、あたし石原法子。よろしくね。
あ!時間ヤバイ!
ほんとゴメンね、じゃ!」
そう言って、あたしは教室に駆け込んだ。
結構悪く無い……かも。
・・・
教室には同じオベリスクブルーの生徒、温田熱巴もいた。
「何よ温田、あんたも補習?授業サボってたの?」
「うるせーな。ちょっとテストの点が悪かっただけだ。」
温田熱巴は属性デッキ6人衆とかいう、わけのわからないグループに入っている。
彼らは常に集団で行動するため、あまり勉強してなかったのだろう。
それに一人サボると、つられるように他の5人もサボる。
加えて、温田熱巴はテストの成績も悪かったらしい。
そこが呼び出しを喰らった要員と思われる。
軽口を叩き合うあたしたちの前に、名物教師、クロノス教諭が現れる。
「ハイ、そこまでナノーネ。
今から二人でデュエルしてもうノーネ。」
「デュエル?なんでよ?」
「勝ったほうは今までのことを目を瞑って上げるノーネ。
ただし負けたほうは処罰するノーネ。」
実力主義者のクロノス教諭らしいやり方だ。
ま、デュエルに関しては自信のあるあたしは、同じブルーの生徒と言えど負ける気はしなかった。
「俺は構わないけどな。
帝王の涙に負けるわけが無いぜ。」
「うっさい!
だからあのときは緊張してただけなの!
ほら、構えなさい。」
最初のコメントを投稿しよう!