五章「吉澤由美」

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復活の生贄? 何のことだろうか。 黒川もデュエルディスクを構える。 「ふん…先行はくれてやる…」 「むふ、優しいのね。最もそんなことしても容赦しないわよ。」 デュエル!! 吉澤由美 LP 4000 黒川唯一 LP 4000 「私のターン!ドロー! むふ……首領ザルーグを攻撃表示で召喚! 攻撃力1400、さらにダメージを与えたとき、 相手の手札を捨てさせるか、デッキからカードを墓地に送る!」 吉澤先輩ははっきり言って強い。 バランスが取れている手札破壊を中心とするデッキで、 あたしは何度も手札を枯らされた経験がある。 「カードを一枚伏せて、むふ、エンド!」 吉澤由美 LP 4000 手札4枚 場:「首領ザルーグ」   伏せカード1枚 黒川唯一 LP 4000 手札5枚 場:無し 「くくく…、俺のターン…。ドロォ! 大木人18を攻撃表示で召喚!攻撃力1600だ……」 と、そのとき、あ!っと大きな声を上げる生徒がいた。 温田だ。 「それは俺のカードじゃねぇか! 黒川!テメェが盗んでやがったのか!返しやがれ!」 温田は主に炎属性のカードを使う他、18と名のつく モンスターカードシリーズも主軸に使っていた。 彼が無くしたのはどうやらこの大木人18らしい。 「お前のカード? 馬鹿を言うな……これは〝俺が集めた〟カードだぞ。 く、くっくっくくくく!」 その言葉に吉澤先輩の表情が変わった。 「あんた……」 かなり怒って……いや、半ギレ状態だ! 「くくく、俺のターンの途中だったな…… 大木人18で、首領ザルーグに攻撃だ!」 吉澤先輩が叫ぶ。 「人から盗ったカードで勝てると思うな!! リバースカードオープン!収縮! 大木人18の攻撃力を半分にする!」 収縮の効果を受けた大木人18が小さくなり、 首領ザルーグの反撃を受ける。 黒川唯一 LP 3400 「ダブルリボルバー! そして首領ザルーグの効果発動!むふ。 さぁ黒川くん。 あなたから見て、右から2番目のカードを捨てなさい!」 黒川は無言でカードを捨てる。 不利な状況のはずだが、まだ余裕ある表情だ。   「フン…、レア度の低いカードなど、しょせんこんなものか…… 使えん。」
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