五章「吉澤由美」

5/13
前へ
/245ページ
次へ
温田の表情が、今度は情けないものになっていく。 「く、黒川……お前、どうしちまったんだ?」 もはや黒川は温田が眼中に入っていないかのように、ゲームを続ける。 「カードを2枚セットし。ターンエンドだ。くくく…。」 吉澤由美 LP 4000 手札4枚 場:「首領ザルーグ」 黒川唯一 LP 3400 手札2枚 場:伏せカード2枚 「みんなのカードは私が必ず取り戻す。 むふ、私のターン!ドロー!」 このまま吉澤先輩のペースに持ち込めれば、 一気に勝負をつけられる。 「首領ザルーグで攻撃!ダブルリボルバー!」 「リバースカード!メタル・リフレクト・スライム発動! 守備力3000の壁となり、俺を守る!」 この永続罠、メタル・リフレクト・スライムはかなりのレアカードのはず。 やはり誰かのカードなのだろうか? 「むふ、残念ね。カードを1枚セットしてエンド。」 吉澤由美 LP 4000 手札4枚 場:「首領ザルーグ」   伏せカード1枚 黒川唯一 LP 3400 手札2枚 場:「メタル・リフレクト・スライム」   伏せカード1枚 「俺のターン……ドロォ。」 「待ちなさい!リバースカード、はたき落とし! ドローしたカードをそのまま捨ててもらうわ!」 「ふん……。 予想以上にやるようだな。貴様は上質の生贄になりそうだ。 くくくく……。」 生贄というのがなんのことかわからないが、 この不利の状況でも黒川は何故か余裕だ。 どこからその自信が来るのだろうか。 「怨念のキラードールを攻撃表示で召喚。 攻撃力1600だ…… 首領ザルーグに攻撃!」 吉澤先輩の主力モンスターは斧の一撃でやられてしまう。 吉澤由美 LP 3800 しかし総合的にはまだ先輩のほうが有利。 「続いて手札から、永続魔法エクトプラズマーを発動…。 お互いのエンドフェイズにモンスターを生贄に捧げ、 その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。 生贄は強制だ……くくく。ターンエンド!」 黒川がエンド宣言をした。 ということは…… 「エクトプラズマーの効果発動! いけ!キラードール!」 「きゃぁ!」
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加