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この見た目がちょっと怪しい戦士の集団は、攻撃力は1000しか無いが
フィールドのモンスター1体を破壊するという、強力な効果を持っている。
当然あたしが破壊するカードは温田のカード。
「あんたの場のモンスター、火炎木人18を破壊。
そして……」
温田を守るカードは無い。
「あ……!!」
「あたしの勝ちよ!
モンスターで攻撃よ!
魔導戦士ブレイカー!」
温田熱巴 LP 2400
「あ……あ……」
「もういっちょ攻撃よ!
氷帝メビウス!アイスランス!」
温田熱巴 LP 0
「マジかよ!負けちまった!」
公式の技の名前とはいえ、
ちょっと安直すぎる技名なんじゃないかなと疑問に思いつつも、
あたしの最愛のカード、氷帝メビウスで決着をつけた。
「そこまでなノーネ!ブリリアント!
イシハーラ ノリーコは約束どおり、今までのことは水に流すノーネ。
次回からはちゃんと授業に出席するノーネ。
オンダ アツーミは後日追試ナノーネ!
結果次第ではラーイエローへの落第もありえるノーネ。シルブプレ。」
「ちっくしょぉぉ!!」
あたしは久しぶりのデュエルに充実感を感じつつも、
天上院吹雪さんに思いを馳せていた。
・・・
――数ヶ月前のこと。
あたしは、夕陽が沈むころ、PDAで天上院吹雪さんを浜辺に呼び出していた。
「どうしたんだい、ハニー。こんなとこに呼び出して。
まさか愛の告白かい?はっはっは。」
この人はいつもこんな調子だ。
「……あたしと……デュエル……してもらえませんか?」
いきなり告白などは気恥ずかしくて出来きやしない。
てか出来るわけない。
でもデュエルすることで、少しは思いを知ってもらえるかと考えたのだ。
「君にとってデュエルは挨拶のキスみたいなものなのかい?
でもそんな挨拶も嫌いじゃないな。」
もちろんこの人もデュエルが大好きなのだ。
そして……
「漆黒の豹戦士パンサーウォーリアーで、法子くんにダイレクトアタック!」
天上院吹雪 LP 500
石原法子 LP 0
負けた。
あと少しまで追い詰めたが、罠カードの逆襲にあったのだ。
吹雪さんはカイザー亮のライバルという話があるほど、
高い実力を持っているのである。
むしろそこまで追い詰めることが出来たこと事態、奇跡だ。
「……か、完敗……です。」
「ありがとう!
君の熱いハートに僕は感動したよ。
そうそう、これを上げよう。君と僕の、今日の記念にね。」
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