二章「天上院吹雪」

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どことなく… …どことなくだが、吹雪さんに似てるかな… …とあたしは思った。 ・・・ 「お姉ちゃんは、タッグフォースのパートナーは誰か決まってるの?」 授業が終わり、部屋でゴロゴロしてたあたしに周子が話しかけてきた。 タッグフォース? なんだそれ? 「なんかのイベント?」 「ちょっとお姉ちゃん最近ボ~っとしすぎ! 今から三ヵ月後に、タッグデュエルによる大きな大会をやるの。 パートナーのあてはあるの?」 タッグデュエル… …パートナー…… もちろんあたしの脳裏には吹雪さんの姿がよぎる。 でも…… 彼は今だに行方不明の身。 「…いないわ……周子は?」 「えへへ……あたしもいない。組む?」 「そうね、それしか無いわね。」 「彼氏がいないと寂しいね。」 「うっさい。」 詳しく聞いてみれば、デュエルアカデミア内だけでなく、 外部からの参加もあり、テレビ放送もされるというとても大掛かりなものらしかった。 もしかしたら、吹雪さんもこの話を聞きつけ、 タッグフォースに参加するためにひょっこり姿を現すかもしれない。 なんといっても目立つのが好きな人だからだ。 最高に盛り上がってきたところで イエーイ!みんな僕の登場を待っていただろう!? なんて声高らかに宣言しながら、大会に乱入なんてのも考えられる。 むしろその仕込みのためだけに、あえて行方をくらましているんじゃないか、 とすら思えてくる。 しかしあたしは大きな期待とともに…… 何か例えようのない、黒い不安が胸中に渦巻いていた。
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