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一章「石原法子」
あたしの名前は石原法子。
……「ホウコ」じゃない。「ノリコ」だ。
デュエルアカデミアのオベリスクブルーに所属している。
オベリスクブルーと言えば、アカデミアの中でもトップのクラスなのよ。
と、言っても女子寮はオベリスクブルーにしか無いから、
必然的にそうなるんだけどね。
でもやっぱり、オベリスクブルーと名乗るからには
それなりの実力が無いといけない。
ふふん。
実はあたしは「帝王の涙」という通り名を持つくらいの有名人なのよ!
名前の由来は「帝王も涙するほどの強さ」!
……のはずだったんだけど……
この前の学区内テストのデュエル実技試験で大きなミスをやらかしてしまった。
しかもそのとき相手は……
デュエルアカデミア始まって以来の天才デュエリスト、
丸藤亮ことカイザー亮が相手だったのだ。
ガッチガチに緊張しちゃって召喚の順番はミスするわ、
ルールのミスはするわで散々な結果に終わってしまった。
幸い、筆記テストの成績は良かったので落第は免れた……
が、その日以来「帝王も涙するほどの弱さ」というなかなか不名誉な認識に変わってしまった。
やれやれ。
ま、いいわ。
あたしはあたしで気ままに生きていくもんね。
テストの結果がどーだってのよ!
そうそう、あたしには双子の妹がいる。
名前は石原周子。
「シュウコ」じゃないよ、「チカコ」だよ!
ちょっと引っ込み思案で、しかも物忘れが激しい周子はイマイチ自分に自信が持てないみたい。
でもあたしに近い実力は確かにあるわ。
……あたしたちには憧れている人がいる。
それはカイザー亮のライバル、天上院吹雪だ。
憧れている……というよりは、むしろ恋心に近かった。
少なくともあたしはね。
陽気な性格、華麗なデュエル。
一目見ただけで惚れてしまった。
ファンクラブまで設立してあり、他の女子生徒の人気も高いのだ。
……でもファンクラブには入ってない……
なんかそういうのはヤダ。
見るだけでいいもの。
今日もまた、吹雪さんのカッコいいデュエルが見れた。
私の毎日はそれだけでも十分だった。
だが先日……
天上院吹雪が行方不明になったという話を聞いた。
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