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傘
どれくらい
泣いただろう。
顔を上げると
僕の目の前には
一人の女の人が
立っていた。
それは
よく知った顔だった。
『姫羅…』
姫羅は
そっと僕に微笑みかけると
傘を差し掛けた。
『風邪引くよ??』
姫羅は
そう言っただけだった。
それでも僕が
何か伝えたくて
喋ろうとすると
姫羅は人差し指を
そっと僕の唇に当て
『全部分かってる。』
と言い、
それから一言添えた。
『ずっと見てたから。』
そう言う
姫羅の目は
どこか寂しそうだった。
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