学校

9/15
前へ
/452ページ
次へ
「…マジで? うわー! 橘、お前スケベなんだな!」 「ば、馬鹿! そんなんじゃねえよ!」  慌てて言い返すが、周りのクラスメート達はみんなニヤニヤしながら良次を見ている。 「照れるなって。健全な男だったらそれくらい思ってもおかしくないだろ?」 「だから、覗くとか見たいとかそんなんじゃねえって!!」  必死に言い返すが、それが余計に面白いのか周りのクラスメートはますます笑った。しかしそのとき、良次の必死な様子を見た別のクラスメートが、輪の外から声をかけてきた。 「何かあったのか? ずっと考え事しているみたいだぞ?」  その言葉に、良次はハッとなって声の主を見た。相手は自分と同じように日に焼けた肌で、髪を短く刈り込んでいた。 (こいつ、気づいてくれていたのか?)  良次はなるべく顔に出さないようにしていたつもりだったため、何で気付かれたか不思議でしょうがなかったが、とりあえず今はクラスメートへの誤解を解く方が先決だった。 「いや、昨日案内してくれた楠木さんにお礼が言いたかっただけなんだ。全然言いに行けなくて、それで色々と…」  そこまで言ったところで、良次はクラスメート達が発する空気が一変したことに気付いて言葉を切った。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加