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「…マジで? うわー! 橘、お前スケベなんだな!」
「ば、馬鹿! そんなんじゃねえよ!」
慌てて言い返すが、周りのクラスメート達はみんなニヤニヤしながら良次を見ている。
「照れるなって。健全な男だったらそれくらい思ってもおかしくないだろ?」
「だから、覗くとか見たいとかそんなんじゃねえって!!」
必死に言い返すが、それが余計に面白いのか周りのクラスメートはますます笑った。しかしそのとき、良次の必死な様子を見た別のクラスメートが、輪の外から声をかけてきた。
「何かあったのか? ずっと考え事しているみたいだぞ?」
その言葉に、良次はハッとなって声の主を見た。相手は自分と同じように日に焼けた肌で、髪を短く刈り込んでいた。
(こいつ、気づいてくれていたのか?)
良次はなるべく顔に出さないようにしていたつもりだったため、何で気付かれたか不思議でしょうがなかったが、とりあえず今はクラスメートへの誤解を解く方が先決だった。
「いや、昨日案内してくれた楠木さんにお礼が言いたかっただけなんだ。全然言いに行けなくて、それで色々と…」
そこまで言ったところで、良次はクラスメート達が発する空気が一変したことに気付いて言葉を切った。
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