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(結城)
「結城、ちょっと待って!」
和泉のその声に俺はハッとして足を止めた。
振り返ると和泉がフゥーと息を整えている。
俺が和泉の元へ少し戻ると、和泉が俺を恨めしそうに見上げた。
「考え事しながら歩くと速くなるの悪い癖だよ?俺は結城みたいに背も高くないし、足も長くないんだからね?」
和泉が少しイタズラっぽい笑みを見せそんな嫌味を言った。
「わりぃ」と小さく謝って、俺は和泉が背負っていたエレキギターを奪い取る。
そしてそのまま和泉の代わりに担いで、ゆっくりと歩き出した。
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