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(結城)
「緊張するなぁ」
さっきから落ち着かない様子で望月は歩き回っていた。
「うぜぇから大人しく座っとけよ」
「真喜志さーん、結城さんが怖い」
和泉の後ろに隠れた望月がわざとらしく怯えてみせる。
俺が和泉に敵わないのをこの三ヵ月で分かった望月は、俺に睨まれる度に和泉の陰に隠れるようになっていた。
「初めてのテレビ出演なんだから緊張するのも無理ないよ。結城が図太いだけだから気にしなくていいよ」
「そうですよね。普通緊張しますよね。結城さんがおかしいんだ」
和泉に守られて安心した望月が言いたい事を言っている。
「お前、和泉の後ろに隠れるなんてズルイぞ」
捕まえようと腕を伸ばすと、望月は和泉を盾にして逃れた。
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