859人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも捕まえようとすると、望月は俺に合わせて和泉の向きを変えた。
困ったように苦笑いする和泉の向こうの望月が、面白そうに笑っている。
クソッ、ちょこまかしやがって!
「子供じゃないんだから静かにしてくれない?」
そんな俺達に離れて座っていた響が冷めた声で言った。
「ああ?」
「三つも年下の子にいいようにされてみっともないわね」
怒り任せで振り返った俺の怒りを、更に煽るかのように響は鼻で笑った。
「お前、喧嘩売ってんのかよ?」
「売ってなんかないわよ。本当の事を言ってるだけ。まぁ、あなたが売るっていうなら買ってもいいけど?」
冷めた口調とは裏腹に、ひどく挑戦的な瞳が向けられる。
勿論、年下の、しかも女相手に喧嘩なんて出来るはずがない。
そんなの当たり前だ。
でもこいつだけは許せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!