859人が本棚に入れています
本棚に追加
「すぐ行きます」
俺達から目を離さずに和泉は声だけ飛ばし返事をすると、俺の背中をポンポンと軽く叩いた。
「さぁ行こう。リハーサル通りやれば大丈夫だから」
「はい!」
さっきまでハラハラした様子でこっちを見ていた望月が、元気に返事をする。
そんな望月を満足そうに見て、和泉は俺達に視線を戻した。
「結城も泉ちゃんも、今日のところは俺に免じてさ。初めてのテレビ生本番で恥掻きたくないだろ?」
「俺は別に…。響に聞けよ」
「私だって、あなたを相手にするほど暇じゃないわよ」
明らかに俺に向けられて吐かれた言葉に苛立ちながらも、和泉の手前必死に押さえた。
「よかった。じゃ泉ちゃん、今日も最高のドラム頼むね」
歩き出した響に言って和泉は俺を見た。
最初のコメントを投稿しよう!