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この後、殿は沐浴をし、軽く食事を摂ってベッドに戻り、もう二、三日をゴロゴロとしながら過ごす事になった。
「それは止めろ」
「それって?」
中庭に出て、仲良くひなたぼっこ。
夏真っ盛りだが、森の中はひんやりしていて、気持ちが良い。
エリーの膝を枕にし、ごろ寝しているのが緑の君で、エリーは、緑の一族での第二位の衣装を身に纏い、緑の殿の贅沢な金の巻き毛をそろりそろりと撫でている。
「お前は従者ではない」
「では、何とお呼びすれば宜しいのですか?」
「私の名はアルフレッドだ」
「では、アルフレッド様」
「敬称等付けるな」
「くすす。今日の殿は、駄々っ子みたい」
「そう呼ぶなとゆうに」
「はぁい。じゃあ、アルフレッド」
「ん。次はアル」
「アル」
「もう一度」
緑の殿の左腕が持ち上がり、自分の名を繰り返す幼い恋人の唇を優しく優しく撫で始めた。
「アル」
「ん。慣れたか」
「う~ん。もう少し」
「じゃあ、もう一度だ」
「うふふ。アル」
「慣れたか」
「明日になれば慣れていると思います」
「じゃ、もう一度」
「くすっ。アル」
「ん。色っぽい唇だ。食ってやりたいね」
「どうぞ」
上体を倒して行き唇を重ねた。
「お味は?」
「もう少し食ってみないと」
「くすす」
深い深い口付けの後で、二人は二十日振りに抱き合った。
エリーの甘ったるい喘ぎがエコーする。丸で、夢のような時間で、エリーは零れる涙を止める事が出来なかった。
人の世も落ち着きを取り戻し、それに伴い、仙境も少し暇になって来た。
そんな、一見すると穏やかさを取り戻したかのように見える仙境の某日。エリーが緑の君の宮殿に招かれて一ヶ月と十日。占星術的にエリーにとって良き日に、主立ったアルフ達を緑の宮殿に招き、エリーのお披露目を行った。
エリーは、緑の君の為に身を美しく着飾った。色々な方に紹介され、様々な贈り物を頂き、改めて、妖精王の中の妖精王、緑の君の偉大さを知る事となった。
四大霊力のそれぞれの王達は、所謂、幼馴染みだ。緑の君を初めとする王四名は、ちょっとびっくりの美形だ。気安く声を交わし、冗談すら飛び交う。
緑の君の生涯の伴侶が人間だと知り反発した者も居たが、緑の君の愛の深さに結局は折れて、エリーを迎えてくれた。
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