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と、同時に、自分が人間である事を痛感した。
「………良かったのかなぁ~」
「何がですか?」
目星を付けていた連中とは一通り声を交わし、ちょっと人の輪から逸れる。そして、大きな岩にちょこっと座り、エリーの唇から、溜め息と一緒に言葉が零れ出た。
それに反応したのはキリアンだった。
エリーは、意識もせずに、その先を続ける。
「殿のお情けにお応えして」
「後悔なさっておいでなのですか?」
「う~ん。………後悔になるのかなぁ~…。うん。後悔だね、きっと。僕はどうやっても人間で、もし、お応えしなければ、殿は僕ではない、もっと殿に相応しい美しくて高貴な方と巡り会っていたんじゃないかなぁ~。僕は殿の幸せを摘み取ってしまったんじゃないかなぁ~」
「仮にそうだとしても、それをお選びになられたのは殿です。エルンスト様も、それを承知なさったのでしょう? だから、人間の身には毒でしかない殿の血を含めたのでしょう?」
「うん」
「なれば、今在る姿こそが一番だと思いますよ」
「うん。………。はっ…誰に何の話しているんだろっ。ごめん」
「いえ。私は、エルンスト様は物静かな方なのだと思っておりました」
「え?」
「こんなに活発で、こんなにお話をなさる方だとは思っておりませんでした」
「………。どっちか…と比べる事もなく、きっぱりと、喧しい小僧だと思うけど」
「喧しいかどうかは存じませんが、これからは、お話致しましょう」
「え? でっでも、キリアンこそ無口だし」
「とぉんでもない。元々ライトアルフは大のお喋り好きです。殿達のような高貴な方々は別ですが、我々のような一般のアルフは、唄もダンスもお喋りも大好きなのですよ」
「そうなの?」
「はい。殿のお傍に在られる時のエルンスト様はとてもお静かなので、私はてっきり」
「それは俺の方だよ。必要最小限の事しか言わないから………」
「くすす」
これは、思わぬ収穫である。
エリーとキリアンは小さく笑い合い、その間にあった距離が少しだが、縮まったのを感じた。
一人と一羽は、暫くの間そこでくだらない話をし、リーが戻って来てエリーの右肩に鎮座したのを感じ、祭に加わる事にした。
「!」
「エリー」
バッタリ会ったのはカール。
彼は、祭に合わせて里帰りし、そこで初めてエリーが嫁いだと知らされた。
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