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カールのショックは、いかばかりのものだったろうか。それもそうだろう。祝言の前日迄話は進んでいたのだ。なのに、最長老の一言でパァにされ、そのまま国境警備につかされて、辞めるに辞められず、又、休みも取らせて貰えず今日迄待ったのだ。しかも、カーライル家に養子に入るように歩兵も辞めて来た。今日こそエリーを我が物にする為に意気込んで帰ってみれば虫の好かない馬の骨は居なくなっていて、これは付いてると思った矢先、その馬の骨と祝言を上げたと聞かされ、今、何処に住んいでるのかも教えてくれない。唯、諦めろとしか言われず、思いっ切り腐っていた。そこにエリーだ。これはやっぱり運命だと手前勝手に解釈しくさるおめでたい奴は置いといて、エリーはモロに顔をしかめている。この男と居てもろくな事がない。無視してどこかに行こう。
エリーは、くるっと背を向けてしまった。
「あっ、おいっ。待てよっ。おいっ」
「ムカッ。何だよっ、この手わっ! 離せよっ! バーロー!!」
「何怒ってんだよ」
「離せっつ~の! てめえなんぞに触られたくねぇやっ! 離せっ!!」
とっさに引き止めてしまったカールは、エリーの凄まじい抵抗で、手を離した。「お前、そんなに俺が嫌いか」
「あんた、頭、いかれてんのかっ! 何処をどう押しゃそ~ゆ~ふざけた事、聞けんだよっ! あんたなんか、大っ嫌いだっ!」
「何に、そんなに怒ってんだよ」
「ざけんじゃねぇぞっ! こらぁっ!」
「エリー」
「親父と二人でコソコソ何やってたんだよっ! 俺を無視したままで、あんた、何をしようとしたんだよっ!」
「あれは、お前の為を思って」
「な~にが俺の為だっ! 寝惚けた事言ってんじゃねぇよっ! 自分の為だろうがっ! 人間として最低だよっ、あんたっ!」
「………今、何処に居るんだ」
「永遠にさようならっ!」
「エリー! 何処に居るんだっ!」
「離せっつうのっ! 触るなっ! バカっ!」
エリーの細い手首を掴み、尚もしつこく食い下がって来る。余りのしつこさに嫌気がさしたエリーは、相当激しくカールを拒んだ。すると、リーがエリーの手首迄伝い降りカールの指を噛み、右肩に鎮座していたキリアンも、カールの頬に鋭いくちばしを向けた。
キリアンは無事だったが、リーは払い落とされてしまった。
「何て事すんだよっ! バカっ!」
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