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レイク村の男の子達は、皆、森の中で遊ぶ。
木の実を取ったり、薬草を採取したり、大人達の狩猟を手伝ったりしながら、一人前の狩人になって行く。
この村は、半農半猟の村であった。必要なだけの獲物を恵んで貰い、慎ましい毎日を送っている。
不必要な殺生はご法度。信心深い森の民は、森の奥深くに住まうと言われる森の神に対し、毎日の感謝を忘れなかった。毎日の食べ物に困らないのも、村が平穏であるのも、全ては森の神の御加護のお陰。だから、彼等は、森の法を破ろうとしなかった。犯せば災いが降り掛かると信じていたから、決して必要以上の動物は殺さなかったし、季節によるが、子供とその母親も殺さなかった。
彼等は、この森の恐ろしさも、併せて教えられていたのだ。
聖なる森と呼ばれているこの森も、隣りの国に行けば魔の森と呼ばれていると知っている。
心卑しき者が、この森の奥深くに眠ると言い伝えられている金銀財宝を欲っせんと足を踏み入れれば、その者は二度と森から出られないそうだ。
反対に、心正しき者が何かの弾みで道に迷ったれば、その者は必ず、森に入った所に導かれているらしい。
今、村に住む人間で、それらの事を目の当たりにした者は居なかったが、ずっとずっと、そのように言い伝えられて来ており、最長老のお祖父様 が子供の頃に遭遇したのが、一番最近で、もう、百年以上も前の事だ。
さて。
ここに一人の少年が居た。名は、エルンスト・カーライル。通称エリー。間もなく十歳になる、腕白小僧である。そう、何処にでも居るようなガキ大将だ。村長の嫡子であるという事と、その容姿さえ無視すれば、幼馴染み達と何等変わらぬ元気の良いヤンチャ坊主である。
少年エリーの容姿。
知っているのは別にして、知らぬ者なら十人が十人、百人が百人、彼が男の子だとは思うまい。少女のようにたおやかで、可憐で、本当に美しく生れついている。
プラチナブロンドの癖のない髪は、背中を覆い隠す程に長く、その、本物の女達が羨む長い髪を、何とも無造作に一つに束ねていた。
長い手足。
ほっそりとした体躯。
あくまでも優しく上品な顔立ち。
瞳の色は空色で、香るような白い肌と、花びらのように丸くて可愛らしい赤っぽい唇。
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