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裸にして、その股間にぶら下がるモノを目にすれば信じざる得ないだろうが、見た目だけならば、絶対に男の子だとは誰も思わない。けれど、彼は男の子。とっても元気の良いガキ大将。この村を訪れる旅人が必ず”可愛い”だの”嫁に出すのが嫌ではないか”だの言うモンだから、それに腹を立て、エリーは態度も言葉も極めて悪い。
「ただいまー!」
学問所からエリーが戻った。
「ああ。お帰り」
父の声。
その隣りには、見た事もない小父さんが立っていた。
「ご挨拶しなさい」
小さい村なのだが、国境沿いに位置するせいで人の行き来は頻繁で、村長であるエリーの家は、その旅人達に一夜の宿を貸す事もある。
エリーは、取り合えず、ペコッと頭を下げた。が、耳に入って来た言葉で嫌悪感丸出しの表情で、その男を睨み付けた。
「随分とお美しいお嬢さんですね」
「あわわっ」
お父さん、びっくり。長男には禁句である。
「おっさん!」
「ぇっ」
「あんた、目、腐ってんじゃねぇのかっ?! 誰がお嬢さんだっつ~んだよっ! ざけた事、言ってんじゃねぇやっ!! このっ」
お客人にズイッと近寄り、思いっ切り臑を蹴飛ばした。
「わちっ」
彼は、臑を抱えてピョンピョン跳んでいる。
「こらっ! エリー!」
「おーいっ! エリー!! 行こ~ぜぇ~!!」
「おうっ! 今、行く~! おっさんっ!」
「う”」
「寝るときゃ、気を付けな。アッカンベー」
ベロベロッと舌を大きく出して、お尻ペンペン。で、呼びに来た友達と遊びに行った。
「すっ・済みませんね。口も足癖も悪くて」
「いえ。坊やでしたか」
「はぁ。お恥ずかしい。あれでもう少し、言葉遣いを何とかして」
ここ迄言ったら、外から女の子の悲鳴が届いた。
それにびっくりして、お父さんと旅人が外に出る。
「キャーッ!! エルンスト坊ちゃんっっ」
「手伝ってやるっつ~のに」
「キャーキャー! こっち来ないで下さいってばっっ」
「こんなにかぁ~い~のに。なぁ」
「そだそだ」
「キャーッッ!!」
「エルンストっっ!!」
「ゲッ。やばっ。逃げろ逃げろ」
「わぁ~いっっ」
ヒキガエルを頭に乗せて、下働きの女の子に悪戯していたエリー一味は、村長の雷で蜘蛛の子散らすように逃げてしまった。
「全くあいつわっ!」
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