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今一良く判らなかったが好奇心には勝てず、何より、このお兄さんの事を良く知りたかった。
陽の光りで紡がれた贅沢な黄金の長い髪。エリーとは対象的なクルクル巻き毛。その一房一房が、まばゆく光り輝いて、深い深い森を連想させるグリーンアイズ。彫の深い端正なマスクに逞しい体躯。
見た感じだと、幼馴染みの一人の一番上のお兄ちゃんと同じくらいなのに、どうしてだか最長老様より重厚感あるし、がっしりとした逞しい大きな身体の割りに、受ける印象は上品な優しさと気品に満ち溢れた優雅さで、腕力云々とは全くちがう力強さも感じる。
とても静かで、とても深くて、そして、優しくて、とても広い。
エリーは、躊躇すらせずに、全裸になってしまった。
「これで良いの?」
「ああ。美しいな、そなたは」
「ぇ? あのっっ」
一番嫌いな言葉。なのに、腹が立つどころか、顔が熱くなり目を伏せた。トクントクンと心臓が駆け出し、息苦しくなった。表面的な事じゃないと気付いたから…。
頬を染め、顔を伏せてしまったエリーの顎に若者の指が掛かった。クイッと持ち上げ、残っている方の手でエリーの薄い筋肉で包まれている身体に触れる。
首から優しい肩に、薄っぺらな少年の胸を撫で摩り、更に下へと…。
「怖くはないのか?」
「え?」
震えてすらいないエリーに、若者が尋ねる。
けれど、エリーは何を言わんとしているのか解らなかった。だから、小首を傾げ若者を見る。
若者は、もう一度、尋ねてみた。
「怖くはないのか」
「………? 何が?」
「私がだ」
「………?? どうして??」
純粋に尋ね返され、若者の方が困ってしまった。素直に裸になってしまった事にも驚いたが、それ以上に、今、向けてくれている視線にびっくりしている。
「ねぇ、どうして?」
「どうしてって」
「ねぇ、どうして」
「では、質問を改める。何故、怖くない」
「何故? 何故………う~ん。だってお兄さん、こいつの怪我を治してくれたよ?」
「………」
「悪い人の訳がない。それに………森と同じ色の目してるもん」
ニコッと笑って断言。
「これは参ったな」
”森の王が、困っておられる”
”森の王が、圧倒されている”
”森の王が、人間の子供にやり込められた”
「煩い。黙れ」
「え?」
「いや」
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