君の何を知っていたんだろう?

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俺が髪を金色に染めるのに、特に理由はない。物事には、本質的に理由などないのだ。例えば、君が生きている事には理由はないだろう? 生きる意味はあっても、生きる理由はない。意味と理由は同義ではない。 俺が髪を金色に染めるのに理由はない。けれども、意味はある。恋人は金髪の男が好きだからだ。 俺は恋人と一週間に一度しか会わない。合わない時間は少しづつ、だが確実に愛を育てる。俺も彼女もそう思っていた。そうして、いつか何処かのタイミングで結婚しようと。 とは言え、友達もろくにいない俺にとって、恋人は俺の交遊関係の重要なポストを担っているのであって、ほとんど唯一の心の拠り所であった。恋人と合えない時間はつまらなく、早く言っていまえば、退屈だった。おまけに、先週恋人は生理でセックスをしていなかったので、俺は欲求不満だった。尻軽女が肩を叩いてくれれば、即刻お供したいくらいに。 だが、尻軽女が肩を叩くのを待つよりは、マスターベーションに勤しむのが健全な若者である。俺はレンタルビデオ店へアダルトを借りに行った。 正直なところを言えば、ヤキモチ焼きの恋人は、俺がアダルトを見る事も嫌がるのだけれど、それは正直、酷ってもんだ。だって、考えてもみろ。それは肉食獣に、肉を食うな、と言っているようなもんだ。嘘じゃなく、それは命に関わる。君の近くにアダルトなんてみない、という男がいたら、そいつは嘘をついている。 ともかく、レンタルビデオショップに辿り着いた俺は、アダルトコーナーへ向かった。俺は女子校生モノが好きだ。あの制服を着ていると、女の子が五割増しで可愛く見える。女子高生コーナーであれこれ選んでいると、ふと目を引くDVDを発見した。潮吹き女子校生5。そのパッケージを飾る女の子がとても可愛い。ロリっぽいが、どこか艶っぽい横顔。俺の恋人に似ている。と、言うか見れば見るほど俺の恋人そっくりだった。「まさかな」呟きながら、俺はパッケージの裏を見る。間違いない、と悟る。顔だけではなく、体も俺の知る恋人の姿だ。腰のライン、大きくはないが、形の良い乳房。 「リカ」俺は恋人の名を呼び、直後に目の前の棚を思い切り蹴った。その後の事は、余り覚えていない。崩れ去る棚。女の悲鳴…そして、気付いた時には見知らぬ部屋にいた。
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