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入居日は、大学の入学式からということになった。
荷物を運ぶ運送会社に家具の配置から何から何まで全てを任せ、後はその身ひとつで入居できる運びとなった。
遠く離れた場所に住む両親には、住む家の家賃の話などしなかったから、予定通りの額がもらえるはずだ……と陸はのんきに構えていた。
入学式が済み、各々生徒達はそれぞれの教室へと足を運ぶ。
「いよぉ、陸!」
会場から教室まで戻る間に、幼なじみである西村タケシに声を掛けられた。
「おう、タケシか。
また腐れ縁みたいだな、一年間まあよろしくな」
タケシとは小学校からの腐れ縁というやつで、何の因果かその延長でずっと大学まで一緒という徹底ぶりだ。
成績としてはタケシの方が陸よりもずっと優秀なのだが。
「住む場所、決まったのか?俺はとりあえず本決まりするまではレオパレスにお泊りだ!」
成績が優秀な割に、マイペースで計画性がないタケシはまだ不動産が決まっておらず、マンスリーマンションから通うらしい。
(タケシんとこは金持ちだからな……)
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