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なぜさやかが、それを自分に向かって言うのか……陸はまったく解らなかった。
だが『殺戮アパート』その言葉が陸の心を掻き乱し、背筋を凍らせたことは確かだった。
「行こうぜ、タケシ!」
まださやかと話したげなタケシの袖をグイとひっぱると、陸はタケシを追い抜き、どんどん先へと進んでいく。
そんな陸の態度に、さやかが気を悪くしないかどうか気になったタケシはちらりとさやかを見、
「……ごめん!」
そう残して陸の元へ走って行ってしまった。
二人の姿がどんどん遠くなる。
それをじっと見つめるさやかがゆっくりと口を開いた。
「気が向いたら、いつでもいらっしゃい?
――新垣 陸くん……?」
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