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「いかようにも。
部屋的には値段とは掛け離れた程の高設備・高デザイン性のアパートです。この部屋以外のお値段は、月15万かかりますが―――」
不動産の主はじっ、と陸の瞳を覗き込むようにして見つめてきた。
「……え?」
主の次に続く意外な言葉に、陸は思わず聞き返した。
「その部屋の家賃は月1万円で結構です」
あまりに非現実的な家賃の差額が、その物件の訳あり度の危険性をまさに表しているということだろう。
だが、そこは出ていく出費を押さえたいという気持ちも手伝い、
「下見…下見させてもらえますか?」
主に向かい、陸はそう言った。
対する主人の方はそんな陸に気持ち悪い程の笑みを浮かべながら陸に向かって言った。
「もちろん…百聞は一見に如かず、私も同行しましょう」
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