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まず、様々な人間に度々目撃される白い女について。
こら、ベタとか言うな、現実は非情なものなんだから。
俺はほぼ毎日この女を見ている。ただ、直視した事はなく、横目でしか見えない。そちらを振り向くと居なくなるのだ。
つまり、この女はシャイなあんちくしょうなのだ。嘘です。多分俺の能力がしょぼいだけです。
正直、全然怖くない。物心ついた頃には既に見えていたので慣れたのかは分からないが、悪意は全く感じとれないからかもしれない。
何故か俺の住む十階でしか目撃はされないのも特徴かもしれない。
階段の横だとか、エレベーターの横だとかに大抵ぽつんと立ってる。上の階から覗き込まれていたのは少し怖かった。
その女についてよく俺とAは話していたが、怖がりのCには教えない事にしていた。どうせ見えないなら知らぬが仏だ。
或る夜、俺の家に遊びに来たCは何故か顔色が優れなかった。心配する俺とAにCは尋ねた。
「このマンションの幽霊ってさ、白い女だよな?」
知っていたのか。いや、見えたのか?顔を見合わせる俺とA。
「ああ…見たのか?」Aが逆に尋ねる。
「直接ではないけど…見た」
それから少しの沈黙の後、Cは経緯を話し始めた。
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