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出口がこんなに遠かった筈はない。
やばい、怖い。
しかし走ってはダメだ。恐怖が全てを支配した瞬間、やられると感じたからだ。
しかし嫌な感じは拭えない。墓場の中にちらほら人影が見えるが見ぬふりをする。
重圧とえもいえぬ恐怖を耐えながら重い足を進める。
明らかに長すぎる距離を歩いていくと、出口はやっと俺たちを迎えてくれた。
そこからは無言で俺の家へ。
やっと重圧から解放された俺たちは、戦利品を確認することにした。
まずムービー。意外にも何も映ってはいない。マナーモードにしている事に気付き、音量を上げると俺の部屋に女のかん高い声が響いた。
呆然とした俺たちは慌ててムービーを消した。
次に俺が鳥居の中で撮った写メを見てみた。
画面一杯に大きく眼が写っており、明らかにこちらを睨んでいた。
それ以外の写真もそこかしこに顔が写っている。
遊び半分であんなところへ行くもんじゃないなとは思った。
あれから三年程経ったが、特に祟られる事もなく俺は今日も元気に過ごしている。
とってある昔の携帯に入っている写メの眼は、まだこちらを睨んではいるが。
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