出会い

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  「だ、誰だ!?」 森に響くルシフェルの声。 すると、木の陰からルシフェルと同じような黒いローブをまとった魔導師が六人現れた。 そのローブの右胸、額にあたる箇所に、ひび割れたハートに矢が一本刺さっているような白いマークがあった。 「しばらく尾行して見張っていたが、やはりお前がセカイノカギに間違いないようだな」 一人の魔導師がにやにやと笑いながら言う。 「セカイノカギ?何のことだ!?」 声を荒げるルシフェルを嘲笑うように魔導師は言った。 「お前は知らなくていいんだよ!ただ、俺たちに付いてきさえすればな!」 そして、ゆっくりとルシフェルに歩み寄る魔導師の集団。 「な、嫌だよ!来るな!」 訳が分からなかったが、とにかく連れて行かれる訳にはいかない。 ルシフェルは力強く拒んだ。 「やはり拒むか。なら……力ずくで連れていくしかねぇな!」 そう言って、一人の魔導師は片手から火の玉を繰り出してきた。 「くっ、こんな森の中で火炎魔法なんて使ったら……!」 焦ったルシフェルは、対抗して水の玉を片手から繰り出した。 その火の玉にわざと当たるように。 その対照的な二つの球体は、お互いにぶつかり合い、煙を立てて相殺した。 「ふぅ……」 消火の完了に安堵するルシフェルを無視して、 「くらえっ!」 また別の魔導師が、今度は風の刃を飛ばしてきた。 「うぉわっ!」 その刃は速く、相殺させる暇が無かったので、ルシフェルはそれを横に跳んで避けた。 「くそっ、そっちがその気なら!」 着地と同時に、刃を繰り出した魔導師に向かって片手をかざし、 「土魔法・グランドタスク!」 そう叫ぶと、その魔導師の足元の地面が、尖った形に高速で盛り上がった。 「ぐえっ!」 その地面の勢いで後ろに吹き飛ばされ、そのまま気絶してしまった。 「よしっ!まずはひと──」 そう喜んだのも束の間、その隣にいた魔導師がルシフェルと同じ魔法で攻撃してきた。 「ぐはっ!」 同じように吹き飛ばされるルシフェル。 気を失ってはいないものの、どうやら右脚を負傷したようだ。
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