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「それ、今がチャンスだ!」
他の魔導師も、それに続けとそれぞれ魔法を繰り出す。
「ぐっ!……がはっ!」
右脚を負傷して機敏さを失ったルシフェルは、それら全てに直撃した。
「ハァ、ハァ……」
「よし、奴を生け捕りにしろ!」
辛うじて意識のあるルシフェルに、五人の魔導師が近付く。
「ハイスピード……」
ルシフェルが絞り出すような声でそう唱えると、突如疾風が彼の両足を包みこんだ。
するとルシフェルは身を翻し、森の奥へと走っていった。
尋常ではない速度で。
「ぐっ、奴め、まだ魔法を唱える体力が……!風の魔導師、ただちに追跡だ!」
火の魔導師が命令する。
しかし、
「隊長!風は気絶しておりますぜ!」
後ろで倒れている風の魔導師を指さす地の魔導師。
「えぇい、あいつは何をやっているのだ!構わん!お前ら、追うのだー!」
それを見て、地団駄を踏みながら他の手下に命令する火の魔導師。
ある一本の木にもたれ掛かるルシフェル。
負傷した片脚が負担となって、遠くまでは逃げられなかったらしい。
「ぐっ……」
膝から崩れるようにその場にうつ伏せで倒れこむルシフェル。
「やべぇ……頭がボーッとしてきた……」視界がぼやけ始める。
そして遂に、ルシフェルは気を失ってしまった。
無論、気絶したルシフェルに、自分を助けてくれたその人物がどんな人だったかは知る由もない訳で。
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