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母が自分を薬品により生かすのは、決して腹を痛めた娘への愛情ではない。 父に至っては、まるで義務と言わんばかりに、感情を伴わない。 一体私は、なんなの? 無理矢理に生かされるお人形? 社交界に行けば、まるで兄の影とばかりにおざなりにされ。 たまに、近付く女たちには兄への踏み台とばかりにされ。 逆に、男たちはカタワモノへの憐憫と偉そうにする。 私はなんなの? 少女の心にある、小さな器は歪に壊され侵略されていった。 泣くという手段を忘れてしまった。 喚くという手段もなくしていった。 少女の表情は、感情の籠もらない笑みだけが浮かぶ。
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