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母を亡くした兄は、18になり 心を壊された妹は、14になった 兄は、幼かった面立ちから際立つ美しさを持つ面に変わり。 妹は、気弱な泣き顔から悲しい笑顔へと変わった。 兄は、学園に通い様々な人間に触れ、時々に合わせ自分を使い分ける術を覚えた。 本当の自分は、誰にも見せなくていい。 傷つくのは、厭じゃないか。 妹は、相変わらず小さな箱庭の中であの医師と共に生きていた。 変わったのは幼子だった体が乙女へ変化し、医師への感情が憧れから親しみに変わったことだけだった。 雨も、花も、血も あの日と変わらずにただそこに、存在し続けた。
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