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兄は、一族から疎まれているのを分かってか、派手な行動をした。 夜遊び、博打、女、酒、薬物 しかし、そのどれも心に潤いはくれなかった。 あの5歳の時、乾ききった心が歪になるだけだった。 一族の大人たちは、ポールの手綱を取れないのを理解しだし、彼を放逐した。 ストッパーの無いままに、無我夢中に快楽を貪る。 顔がいいから女にも男にも肉体的関係は持てた。 金があるから贅沢だと言えること全てできた。 気の向くままに入った店で、大して欲しくもない装飾品や服を大量に買ったこともある。 大して好みでない女たちを周りに侍らし、阿片を吸ったこともあった。 しかし 薬物にも贅沢にも性欲にも 彼の救いは見いだせなかった。
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