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ポールの母、キリエは幼い頃から臆病な性格だった。 皆が遊んでる間も、誰かの影に隠れるようにして曖昧に笑っている。 正直、影が薄いタイプだった。 外で遊ぶより、室内に籠もりきりで本や音楽を愛していた。 彼女の兄…ポールとクリスの父であるロレンは、そんな彼女を好意的に思った。 臆病で、自分の意見をなかなか言えないようなキリエだったが、本当は話していていつまでも飽きが来ないような、奥ゆかしい少女だった。 麦の穂のような柔らかな金の髪を揺らし、書庫に籠もりきる姿はまるで本の妖精のようにも見えた。
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