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彼女も妊娠だということは、必死に隠していた。 そもそもがそれ程華美な、細身の服を着ない彼女は今まで以上にゆったりとした服を着ていたが、それも直にバレた。 「一体誰の子だろう」 「彼女に男がいたなんてな」 私たちの親や、親類は口を揃え彼女を淫売な女のように蔑んだ。 しかし、私には分かっていた。 彼女が身ごもっているのが、私の子なのだと。 私は、ある夜にこっそりキリエが軟禁されていた母屋に向かった。 彼女は妊娠のストレスや、周囲から与えられる言葉に脅迫観念すら抱き、酷い拒食症を起こしていた。
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