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ポールは内面は、醜く腐り堕ちていたが外見ばかりは、光り輝くばかりの美貌を讃え続けられていた。 薔薇色の頬、豪奢な金の髪、エメラルド色に輝く澄んだ瞳、ほんのりと桃色掛かった健康的な白い肌。 肉も筋肉も均整が取れ、痩せぎすでも肥満でもない。 ただ必要な分、美しく見える量を計ったように、その体は纏っていた。 淡い朱の唇は、さながら温暖な浅瀬に生えた珊瑚をはめたように潤い輝く。 その珊瑚から覗くのは、真珠のように輝く歯。 どことなく破滅的な奔放さと、気ままな儚さを持った姿に焦がれた者は多かった。 乙女たちは、ポールを王子様のようだと讃え 男色者たちは、ポールの持つ抗い難い艶麗さに惹かれた。 分別もない年頃で、屈折した彼は様々な醜聞と浮き名を流した。 昨日は東の姫君を口説いた唇は、月が隠れるより先に北の乙女の唇にくっつく。
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