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人間は一度食べてみたが、脂身だらけで不味い。 味自体なら豚肉とよく似ていたが、酸味が強すぎてすぐ吐き出した。 仕方ないから、人間は殺すことにした。 しかし、ただ殺してもつまらないじゃないか。 そこでまず、獲物を拘束して手足など末端に濃硫酸をかけるといったものだ。 絶叫や、苦痛に歪む顔、情けなく助けを求める姿は実に滑稽で面白かったが、硫酸の刺激臭は頂けない。 「そうだ、簡単に楽しめる方法があった」 ポールの発言に、ドミノの下の瞳が爛々と輝いた。 ポールには、ここにいる誰より残虐行為を悪趣味な芸術品に昇華する才能があった。 まずポールがしたのは、薔薇葬だ。 深い穴に獲物を入れ、上から薔薇の花を積み上げていく。 徐々に薔薇の花の重みと香りで、呼吸や身動きができなくなるという内容だった。 しかし、これでは獲物の死が余りよく見えない。
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