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一般的に、生き物は進化して生き延びてきた。 ライオンはその牙を以て、ウサギはその耳を以て、鳥はその翼を以て 人は知恵を持って、愚鈍になった。 獣は死を恐れない、痛みに怯もうとも死をただあるままに、見つめる。 しかし、人は違う。 死を恐れ、忌避し、そして神に縋った。 死なない物はないし、壊れない物もない。 東洋の無常という奴なのだろう。 しかし、ならば人間に知恵を与えた神はなんと無情なのだろう。 進化の代わりに、恐れ怯え懐疑し憎しみ絶望し… いくつもの、苦痛を与えた。 そして、ポールもまたそんな人間の一人でしかない自分に失望をした。 美神と言われようと、太陽に比喩されようと、この身は所詮人間なのだから。
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