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ふと、目についたのはゲームブック。 お気に入りで表紙がボロボロになるほどやり込んだソレを持ち上げると、不意に一枚のページが剥がれ落ちた。 あみだくじのページ 主人公たちがスタートにいて、そこからたくさんの分岐が伸びる。 そして、分岐を間違えた場合には… 「ゲームオーバー…」 ゆっくりそこに、描かれたポップな字と十字架の絵を見つめる。 そっか… お母様が死んだのも、分岐を間違えたからなんだ。 ボクなんかを産んだから、間違えたルートを進んだんだ。 そう思うと、さっきまで頭を叩き割ろうとしていた痛みが収まった。 代わりに、項の辺りからチリチリとした熱が這い上がる。 鳥肌が立つ瞬間のようなゾワリとした気持ち悪さ。 次に目が覚めたとき、僕は血まみれのナイフを握ったまま立っていた。 土砂降りの雨を全身に受けながら、足元にあるメイドの死骸を眺めていた。
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