矢印は一直線

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一ヶ月前だ。 あたしは竜に告白した。 今の関係を壊したくなくないし、なにより竜に好きな人がいるのをわかってたから、あたしは告白するつもりはなかった。 だけど、竜の好きな人と竜が両想いじゃないかって友達に聞いたの。 あたしは凍りついた。 だってそうでしょ? 竜がその娘と付き合うなんてあたしには耐えられないもの。 嘘だと言い聞かせてたけど、実際そうだった。 その娘は竜が好きだ。 だから、あたしは焦ったの。 焦って思わず告白してた。 「うん。いいよ。」 竜の答えはあっさりしたものだった。 あたしは竜が大好きだから、もちろん嬉しかったけど、竜はまだ、あの娘のこと好きなのは知ってたから、 嬉しかったけど、やっぱり悔しかった。 それから一ヶ月たった。 付き合ってるんだから、手を繋いだり、キスしたり、もちろんそれ以上だってしたけれど… やっぱり、竜の心はあたしになかった。 一緒に居てもわかる。 あの娘が竜の視界に入るたび、竜は嬉しそうにしていたもの。 いくらあたしが鈍くてもわかるよ。 「バカみたい」 今の時刻は午前3時。 あたしはベットに座って竜の部屋を見渡しながら呟いた。 隣で眠っているだろうバカ男に背を向け、思わず泣きそうになりながらも我慢した。 「バカじゃないの」 ただ、泣きたくなくて、いつの間にか零れた言葉だった。 だってそうでしょ? こんなの自分がむなしくなるだけじゃない。 竜だってそうだ。バカだよ。 「それって俺のこと?」 びっくりしてしまった。 起きてるなんて思わなかったから。 「ねぇ、それって俺のことなの?」 あたしが何も言わないから、もう一度、竜は呟いた。 竜は変なことで勘が鋭いから困る。 あたしは平然を装った。 。
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